認知症等で判断能力が低下した方が安心して日々の生活を送れるように家庭裁判所が法定代理人(成年後見人)を選任する成年後見制度と比較検討する制度として、家族信託というものがあります。
こちらは成年後見制度と違い、まだ判断能力が十分あるうちに、ご自身の親族等に資産を信託する信託契約を締結することにより、判断能力が低下した場合でも適切な財産管理が行えるようにするスキームになります。
大きな特徴としては、成年後見制度と違い、家庭裁判所が関与しないために、資産管理を任せる相手をご自身で選ぶことができる点があげられます。
同じような効果があるスキームとしては、任意後見契約を締結するスキームもありますが、こちらは任意後見が発動した場合に任意後見監督人を選任する必要があり、その選任権限は家庭裁判所にあるために最終的には財産管理に第三者が関与する可能性があります。
もちろん成年後見制度によって法定代理人(成年後見人)が選任されることや、任意後見契約に関して監督人が選任されることによって第三者が関与することが多いため、適切な監査が行われることによるメリットもあります。
しかしながらご自身の身上監護や財産管理に関して第三者が選任されるよりは、親族等に面倒を見てもらいたいという方も多数いらっしゃいますので、そのような場合には家族信託は非常に使いやすいスキームになります。
また計画的に家族信託契約を締結することにより、相続税を軽減できる場合もございますので、様々な角度から老後に備えて検討されるのもよいのではないでしょうか。
ただし、家族信託契約に関しては財産管理の規定や税制の落とし穴等もございますので、実際に進めていく場合には司法書士や行政書士等の法律専門職と税理士等の税法の専門職にご相談される方がよいでしょう。
成年後見制度の概要(法務省)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji95.html
任意後見制度の概要(公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート)